放課後等デイサービス 児童発達支援 運動学習教室クォーレグループ
広島古市教室です。

朝の支度や帰りの準備、活動の切り替えなど、子どもと過ごす日常の中で、つい「早くして!」と声をかけてしまうことはありませんか?

大人には時間の見通しがあっても、子どもにとっては、今していることを終わらせたり、次の行動に移ったりすることが難しい場合があります。

何度声をかけても動き出せなかったり、準備に時間がかかったりすると、大人も焦りを感じてしまいますよね。

しかし、「早くして!」という声かけを繰り返すだけでは、子どもが何をすればよいのか分からず、かえって行動につながりにくくなることもあります。

今回は、療育の視点から、「早くして!」を減らすためにできる工夫について考えていきます。

なぜ子どもは行動に移ることが難しいの?

子どもがなかなか行動しないとき、つい「やる気がないのかな?」「話を聞いていないのかな?」と感じることがあるかもしれません。

しかし、その背景にはさまざまな理由が考えられます。

例えば、次のようなことです。

  • 何をすればよいのか分からない:指示が抽象的で、具体的な行動をイメージできていない。
  • 見通しが持てない:今の活動がいつ終わり、次に何をするのか分からない。
  • 行動の切り替えが難しい:好きな遊びをやめたり、別の活動に移ったりすることに時間がかかる。
  • やることが多すぎる:複数の指示を一度に聞いても、何から始めればよいのか整理できない。
  • 手順が身についていない:準備や片づけの方法が分からず、途中で止まってしまう。

このように、行動に時間がかかる理由は、子どもによって異なります。

大切なのは、単に急がせるのではなく、「何につまずいているのか」を観察し、子どもが行動しやすい環境を整えることです。

「早くして!」を減らすための4つの工夫

① 指示を具体的にする

「早くして!」「ちゃんとして!」という言葉は、大人にとっては分かりやすくても、子どもにとっては何をすればよいのか曖昧な場合があります。

そのようなときは、具体的な行動に置き換えて伝えてみましょう。

例えば、

  • 「早く片づけて!」→「ブロックを、この箱に入れよう」
  • 「早く準備して!」→「まず、連絡帳をカバンに入れよう」
  • 「早く並んで!」→「赤い線のところに並ぼう」

このように、何をするのかを明確に伝えることで、子どもは次の行動を理解しやすくなります。

特に、複数のことを同時に伝えると混乱しやすい子どもには、一つずつ指示を出すことも効果的です。

② 視覚的な手がかりを活用する

言葉による指示だけでは、行動の順番や必要な準備を覚えておくことが難しい子どももいます。

そのような場合には、写真やイラスト、文字などを活用して、やることを目で見て確認できるようにしてみましょう。

例えば、帰りの準備であれば、

  1. 連絡帳を入れる
  2. 水筒を入れる
  3. 上着を着る
  4. カバンを持つ

といった手順をカードにして掲示します。

自分で確認しながら準備を進められるようになれば、大人が繰り返し声をかける回数を減らすことにもつながります。

最初は大人と一緒に確認し、少しずつ自分で取り組めるように支援していきましょう。

③ 事前に見通しを伝える

楽しく遊んでいる最中に突然「もう終わり!」「早く次に行くよ!」と言われても、気持ちを切り替えることが難しい場合があります。

そこで、活動が終わる前に、あらかじめ次の行動を伝えておくことが大切です。

例えば、

「あと5分で片づけるよ」
「このゲームが終わったら、お片づけをしよう」
「片づけが終わったら、おやつの時間だよ」

など、終わりのタイミングや次の活動を具体的に知らせます。

必要に応じてタイマーを使ったり、スケジュール表を確認したりすることも有効です。

ただし、時間を伝えるだけでは理解しにくい子どももいます。その場合は、「あと1回遊んだら終わり」など、活動の区切りを基準にすると分かりやすくなることがあります。

④ 行動できたことを具体的に認める

子どもが自分で準備を始めたり、声かけを受けて行動に移ったりしたときには、その行動を具体的に認めましょう。

例えば、

「声をかけたら、すぐに靴を履き始められたね」
「自分でスケジュールを見て準備できたね」
「最後まで自分で片づけられたね」

と伝えることで、子どもは自分ができたことを理解しやすくなります。

大切なのは、完璧にできたときだけを認めるのではなく、行動を始められたことや、自分で確認できたことなど、小さな変化にも目を向けることです。

こうした経験を積み重ねることで、自分から行動する力を育んでいきます。

大人側の環境づくりも大切

「早くして!」を減らすためには、子どもへの声かけだけでなく、大人側の環境設定を見直すことも重要です。

例えば、毎回準備に時間がかかるのであれば、必要な物を取り出しやすい場所に置く、準備の手順を統一する、活動と活動の間に余裕を持たせるといった工夫が考えられます。

また、子どもが行動するまでの時間を観察することで、どの場面に時間がかかっているのかが見えてくることもあります。

大人の予定に合わせて急がせることだけを考えるのではなく、子どもの発達段階や特性に合わせて、無理なく行動できる仕組みを整えていきましょう。

もちろん、安全上すぐに行動する必要がある場面や、集団全体で時間を守る必要がある場面もあります。その際も、日頃から具体的な指示や手順の練習を重ねておくことで、必要なときに行動しやすくなります。

まとめ

「早くして!」を減らすために必要なのは、子どもを急かすことではなく、子どもが自分で行動できるように支援することです。

指示を具体的にする、視覚的な手がかりを活用する、見通しを伝える、できたことを認める。こうした工夫を積み重ねることで、子どもが次に何をすればよいのかを理解し、自分から行動できる場面が少しずつ増えていきます。

また、行動に時間がかかる背景は一人ひとり異なります。うまくいかないときには、子どもの努力だけに目を向けるのではなく、指示の出し方や環境設定が適切だったかを振り返ることも大切です。

大人が少し関わり方を変えることで、子どもの行動が変わることもあります。

日々の療育の中で、「早くして!」という言葉を少しずつ減らし、子どもが自分で考え、見通しを持って行動できる力を育んでいきましょう。

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